2026年10月09日

「歯周病が進行すると、将来的に歯を失う可能性があります」
歯科医院でこのように説明されたことはありませんか?
しかし、痛みもないし、食事も普通にできている。
歯がグラグラしているわけでもない。
それなのに「歯を失う」と言われても、なかなか実感が湧かない方も多いのではないでしょうか。
「少し大げさに言っているだけでは?」
「毎日歯を磨いているから大丈夫なのでは?」と思うかもしれません。
実は、歯周病の怖さは、自覚症状がほとんどないまま進行し、気付いたときには歯を支える組織が大きく失われていることがある点にあります。
今回は、歯周病の症状や歯を失うまでの過程、そして毎日の歯磨きだけでは不十分な理由について解説します。
そもそも歯周病とは?どんな症状が出るの?
歯周病とは、歯と歯茎の境目に付着した細菌のかたまり「歯垢(プラーク)」などが原因となり、歯茎や歯を支える組織に炎症が起こる病気です。
初期の段階では、歯茎が赤く腫れたり、歯磨きの際に出血したりすることがあります。しかし、この時点では痛みを感じないことも多く、異変に気づかず過ごしてしまうケースも少なくありません。
さらに進行すると、次のような症状が現れることがあります。
⚫︎ 歯磨きのときに歯茎から血が出る
⚫︎ 歯茎が赤く腫れている
⚫︎ 朝起きたときに口の中がネバネバする
⚫︎ 口臭が気になるようになった
⚫︎ 歯茎が下がり、歯が長く見える
⚫︎ 硬いものを噛むと違和感がある
・歯がグラグラする
ただし、これらの症状が必ず現れるわけではありません。
歯周病が進行していても、目立った症状がない場合があります。
つまり、痛みがないことや、普段どおり食事ができることは、歯周病が進行していない証拠にはならないのです。
歯周病が進むと、どうやって歯を失うの?
歯周病によって歯を失うまでには、いくつかの段階があります。
まず、歯と歯茎の境目にプラークがたまると、細菌の影響で歯茎に炎症が起こります。
この段階では、歯茎が腫れたり出血したりするものの、歯を支える骨はまだ大きく破壊されていないこともあります。
しかし、炎症が長く続くと、歯茎の奥にある歯を支える骨「歯槽骨(しそうこつ)」にまで影響が及びます。歯槽骨は、歯をしっかりと支える土台のような存在です。
歯周病が進行すると、この土台が徐々に失われていきます。
家に例えるなら、建物そのものではなく、建物を支える地盤が少しずつ崩れていくような状態です。外から見ただけでは異変が分かりにくくても、土台が弱くなれば、建物を支えきれなくなります。
歯も同じです。
歯茎が下がったり、歯と歯の間にすき間ができたりするほか、歯を支える力が弱まることで、歯がグラグラと動くようになります。
さらに進行すると、噛むことが難しくなったり、歯を残すための治療が困難になったりする場合があります。最終的には、歯を残すことが難しくなり、抜歯が必要になることもあるのです。
このように、歯周病は突然歯が抜ける病気ではありません。
自覚症状が乏しいまま、歯を支える組織が徐々に失われていく病気なのです。
毎日歯を磨いていても歯科医院でのケアが必要な理由
「毎日きちんと歯を磨いているから、歯周病の心配はない」と考える方もいるかもしれません。
もちろん、毎日の歯磨きは歯周病予防の基本です。
しかし、セルフケアだけですべての汚れを取り除くことは難しい場合があります。
特に、歯と歯の間や歯茎の境目、歯周ポケットと呼ばれる歯と歯茎のすき間には、プラークが残りやすい傾向があります。磨きにくい部分に汚れが蓄積すると、歯周病の原因となる細菌が増えやすくなります。
また、プラークが唾液中の成分などと結びついて硬くなったものが「歯石」です。歯石は歯ブラシでは取り除けないため、歯科医院で専用の器具を使って除去する必要があります。
さらに、歯周病の進行度は見た目だけでは判断できません。歯周ポケットの深さを測定する検査やレントゲン検査などによって、歯茎の状態や歯を支える骨の状態を確認することが大切です。
永井歯科医院では、検査結果に応じて歯石やプラークを除去し、磨き残しが生じやすい部分や、一人ひとりに合った歯磨き方法についてアドバイスします。
毎日のセルフケアと歯科医院での専門的なケアを組み合わせることが、歯周病の進行を防ぎ、大切な歯を守るためのポイントです。
将来も自分の歯で食事を楽しむために
歯周病で歯を失うリスクを説明されても、今すぐ困っていなければ、なかなか危機感を持てないかもしれません。
しかし、歯周病は自覚症状が少ないまま進行することがあり、一度失われた歯を支える骨を元の状態に戻すことは容易ではありません。
だからこそ、痛みが出てから歯科医院に行くのではなく、症状がないうちからお口の状態を確認しておくことが大切です。
「歯磨きの際に出血する」「歯茎が腫れる」「口臭が気になる」といった変化があれば、放置せずに歯科医院へ相談しましょう。気になる症状がなくても、定期的に検診を受けることで、歯周病の早期発見や進行の抑制につながります。
将来も自分の歯でおいしく食事を楽しむために、今のお口の状態を知ることから始めてみませんか?