2026年1月09日

「生活習慣病」と聞くと、糖尿病や高血圧、脂質異常症など、内科的な病気を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。しかし近年、歯科疾患、特に歯周病が生活習慣病と深く関係していることが、数多くの研究で明らかになってきています。
今回は、生活習慣病と歯科の関係性について、なぜお口の健康が全身の健康につながるのか、日常生活の中で気を付けたいポイントも踏まえてお話しします。
気付かないうちに進む歯周病
歯周病は、歯と歯茎のすき間に溜まった細菌によって起こる病気です。
初期の段階では痛みがほとんどなく、「歯磨きの時に少し血が出る」程度の症状しか出ません。そのため、気付かないうちに進行してしまうことが多いのが特徴です。
日本では成人の多くが歯周病、もしくはその予備軍だと言われています。
決して特別な病気ではなく、誰にとっても身近な問題です。
歯周病と糖尿病は相互に悪影響
歯科と特に関係が深い生活習慣病が糖尿病です。
糖尿病は、血液中の糖(血糖値)が高い状態が続く病気で、進行すると全身の血管や神経にさまざまな影響を及ぼします。
歯周病による炎症が続くと、体の中で炎症性の物質が増え、血糖値を下げるインスリンの働きが悪くなります。その結果、血糖コントロールが難しくなることがあります。
一方で、糖尿病があると体の抵抗力が低下し、細菌に対する防御力が弱くなります。そのため、歯周病が進行しやすく、治りにくくなる傾向があります。
このように、歯周病と糖尿病はお互いを悪化させてしまう関係にあるのです。
動脈硬化や心・脳疾患との関連
歯周病はお口の中だけの問題ではありません。歯周病菌や、炎症によって生じる物質が血液の流れに乗って全身に運ばれることで、血管の内側にダメージを与えることがあります。
その結果、血管が硬く狭くなる動脈硬化が進みやすくなり、心筋梗塞や脳梗塞といった命に関わる病気のリスクが高まる可能性があると考えられています。
お口の中の小さな炎症が、長い時間をかけて全身の病気につながることもあるのです。
誤嚥性肺炎とお口の清潔
ご高齢の方では、誤嚥性肺炎との関係も見逃せません。
誤嚥性肺炎とは、食べ物や唾液が誤って気管に入り、その中に含まれる細菌が原因で起こる肺炎です。
お口の中が不衛生な状態だと細菌が増えやすく、誤嚥が起きた際に肺炎を発症するリスクが高まります。
毎日の歯みがきでお口の中を清潔に保つこと、そして歯科での定期的なクリーニングを受けることは、肺炎予防の大切な対策のひとつです。
歯科でできる生活習慣病対策
生活習慣病を予防・改善するために、歯科でできることはたくさんあります。
定期的な検診で歯周病を早めに見つけ、炎症をコントロールすること。
正しい歯みがき方法を知り、お口の中を清潔に保つこと。
こうした積み重ねが、全身の健康を守ることにつながります。
当院では、虫歯や歯周病の治療だけでなく、お口の健康を通して全身の健康を守ることを大切にしています。
歯周病は自覚症状が少ないため、定期的なチェックと継続的なケアがとても重要です。患者さま一人ひとりのお口の状態や生活習慣に合わせて、無理のない予防方法をご提案しています。
「歯ぐきの状態が気になる」「生活習慣病との関係が心配」という方は、どうぞお気軽にご相談ください。
監修:永井歯科医院 院長 永井 太一

Q1. 歯茎から血が出ますが、痛くないので様子を見ても大丈夫ですか?
A. 痛みがなくても、歯茎からの出血は歯周病のサインであることが多いです。
歯周病は初期のうちは自覚症状がほとんどなく、気付いた時には進行していることもあります。
「少し気になるな」という段階でチェックすることで、治療やケアも軽く済む場合が多いです。
Q2. 糖尿病があるのですが、歯科に通った方がいいのでしょうか?
A. はい、ぜひ定期的な歯科受診をおすすめします。
歯周病があると血糖コントロールが難しくなることが分かっています。
お口の中を清潔に保ち、歯周病を管理することは、糖尿病の治療をサポートすることにもつながります。
Q3. 定期検診はどのくらいの頻度で通えばいいですか?
A. お口の状態にもよりますが、3〜6ヵ月に1回の受診が目安です。
歯周病の進行度や生活習慣によって、適切な間隔は変わりますので、当院では一人ひとりに合った通院ペースをご案内しています。
ご希望の頻度で通院できるようホームケアのアドバイスもできますので、お気軽にご相談ください。