2025年12月12日

年齢を重ねると、体だけでなくお口の中にもさまざまな変化が現れます。これらの変化は個人差がありますが、多くの場合ご自身では気付きにくく、ゆっくりと進行していきます。お口の状態を正しく理解し、早めに対策を取ることが、生涯にわたり「食べる・話す・笑う」を支える大切なポイントです。ここでは、加齢によって起こりやすい主な変化と、その影響についてご紹介します。
加齢によって起こる主な変化
1. 唾液の減少-口の乾きが健康に影響する
加齢に伴い、唾液の分泌量は徐々に減少します。唾液には、食べ物を飲み込みやすくするだけでなく、歯を守る「自浄作用」や「抗菌作用」があります。唾液が減ると、むし歯や歯周病が進行しやすくなるほか、口臭の増加や、食べ物を飲み込みにくくなる嚥下(えんげ)障害のリスクも高まります。「口が乾く」「ネバつく」と感じたら、口腔乾燥(ドライマウス)が進んでいる可能性があります。
2. 歯周病が悪化しやすくなる
歯周病は細菌によって歯ぐきや歯を支える骨が破壊される病気で、日本人が歯を失う最大の原因と言われています。加齢とともに免疫力や組織の修復力が低下するため、歯周病は進行しやすくなります。また、初期は痛みがほとんどないため、気付いたときには歯がぐらついていたというケースもよく見られます。早期発見・早期治療のためには、定期的な検診とプロフェッショナルケアが欠かせません。
3. 歯やあごの骨の変化
加齢により歯はすり減りやすくなり、欠けやすくもなります。また、歯を支える顎の骨(歯槽骨)は年齢とともに痩せていきます。特に歯を失ったまま放置すると骨の吸収が加速し、入れ歯が合いにくくなる・顔の輪郭が変化するといった問題が起こる可能性があります。インプラントや入れ歯などの補綴治療を検討する際には、この骨の変化を踏まえた丁寧な診査・診断が重要です。
4. 味覚の変化-食の楽しみを守るために
味を感じる味蕾(みらい)は加齢によって数が減少し、味覚が鈍くなることがあります。さらに、唾液量の減少も味の感じ方に影響します。味覚が低下すると濃い味付けを求めやすくなり、塩分や糖分の過剰摂取につながることもあります。これは高血圧や糖尿病などの全身疾患の悪化につながることもあるため、口腔環境を整えることは食生活の健全化にも役立ちます。
5. お口の変化は全身の健康にも影響
近年、歯周病と糖尿病・心臓病・脳卒中・誤嚥性肺炎など、全身の病気との関連が明らかになってきました。特に高齢期は、噛む力や飲み込む力が低下することで誤嚥が起こりやすくなり、細菌が肺に入り込むことで肺炎のリスクが高まります。口腔ケアは、お口だけでなく全身の健康を守るための重要な習慣です。
地域のかかりつけ医として通いやすい環境を
こうした変化を早期に見つけ、適切なケアを続けるためには、通いやすい歯科医院をかかりつけとして持つことが大切です。当院は東武東上線ときわ台駅から徒歩1分とアクセスが良く、定期検診やメンテナンスを継続しやすい環境が整っています。年齢に合わせた予防や治療を無理なく続けられることが、生涯にわたるお口の健康につながります。
加齢に伴う変化に負けないために-日々のケアと専門的サポートを
お口の変化は避けられませんが、適切なケアと定期検診によって進行を遅らせ、健康な状態を維持することは十分可能です。
・丁寧な歯みがき
・フロスや歯間ブラシの活用
・定期的なクリーニングと歯科検診
・唾液分泌を促すための水分補給・よく噛む習慣
・口の乾燥や歯ぐきの腫れを放置しない
こうした積み重ねが、将来の生活の質を大きく左右します。当院では、加齢に伴う口腔内の変化に合わせた予防・治療・ケアを総合的にサポートしています。お口のことで気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
監修:永井歯科医院 院長 永井 太一