2025年6月09日

「噛み合わせが悪いと歯並びが崩れる」「肩こりの原因になるかもしれない」──こうした話を耳にしたことはありませんか?
実は、噛み合わせは単に「歯がしっかり噛み合っているか」ということだけでなく、顎の関節、筋肉、姿勢、そして全身の健康にまで深く関係しています。
当院では、世界的に著名な歯科医師であるPeter E. Dawson(ピーター・E・ドーソン)先生の理論に基づき、正しい噛み合わせの診断と治療を行っています。今回は、その「噛み合わせの重要性」について、Dawson理論を交えながらご説明します。
噛み合わせとは?
噛み合わせ(咬合)とは、上下の歯が接触する状態のことを指します。見た目の歯並びだけでなく、顎の関節(顎関節)、咀嚼筋(噛むための筋肉)、神経系、そして歯を支える骨や歯茎など、複数の組織が関与しています。
このように、噛み合わせはお口の中の一部分だけではなく、全身に関わる非常に繊細で複雑なシステムなのです。
Dawson理論による「理想的な噛み合わせ」とは?
Peter E. Dawson博士は、50年以上にわたり噛み合わせの研究と臨床を続け、多くの歯科医師に影響を与えてきた「包括的歯科診療」の先駆者です。
Dawson理論では、理想的な噛み合わせの条件として、以下の3つのバランスを重視しています:
・安定した顎関節の位置(Centric Relation)
・調和のとれた筋肉の働き
・正確な歯の接触関係(咬合接触)
この3つが調和している状態を「機能的咬合」と呼び、歯や顎の健康を長期的に維持するために必要不可欠と考えられています。
噛み合わせが悪いと、どうなるのか?
噛み合わせがずれていると、歯だけでなく、以下のような全身のトラブルが生じることがあります。
・歯の摩耗・破折・知覚過敏
偏った力で特定の歯に負担がかかることで、歯がすり減ったり、割れたりします。
・顎関節症(がくかんせつしょう)
関節に無理な力が加わることで、口を開けるときに音がしたり、痛みが出たりすることがあります。
・頭痛・肩こり・首の痛み
咀嚼筋や首周りの筋肉に緊張が生じ、慢性的な痛みや不調の原因となることがあります。
・姿勢の悪化
噛み合わせのズレが、首や背骨の位置にも影響を与え、全身の姿勢バランスを崩します。
噛み合わせの診査と治療の重要性
Dawson理論において最も大切なのは、「原因を正確に見極めること」です。
当院では、顎の動きや筋肉の緊張状態、歯の接触状態などを詳細に診査し、患者さま一人ひとりに合った治療計画を立てます。
場合によっては、次のようなアプローチを取ることもあります:
・マウスピース(スプリント)による顎の安定化
・被せ物や詰め物の再設計による咬合の調整
・矯正治療による歯列と咬合の改善
「見た目を整える」ことだけが治療のゴールではありません。歯が長く健康でいられるよう、全体のバランスを整えることが噛み合わせ治療の真の目的です。
最後に:将来のために、今できること
噛み合わせの不調は、痛みや不快感として現れるまでに時間がかかるため、気づかないうちに悪化していることもあります。
「最近、歯がすり減ってきた気がする」「朝起きると顎がだるい」「肩こりが慢性的になってきた」──こうしたサインがあれば、一度専門的な診査を受けてみることをおすすめします。
当院では、Dawson理論に基づいた噛み合わせ診断を通じて、お口全体の健康はもちろん、全身の健康を守るサポートをしています。ご不安な点があれば、ぜひお気軽にご相談ください。
監修:永井歯科医院 院長 永井