2025年11月21日

インプラント治療は、「しっかり噛める」「自然な見た目が取り戻せる」という大きなメリットがある一方で、治療内容や費用が分かりにくいと感じる方が少なくありません。特に費用に関しては、「どれくらいかかるのか」「保険は使えるのか」「治療後にもお金がかかるのか」など、初めての方にとって気になる点が多いものです。インプラントは長期的な口腔の健康に大きく貢献する治療だからこそ、事前にしっかり理解したうえで検討していただくことが大切です。
そこで今回は、インプラント費用について患者さまからいただく代表的な疑問にQ&A形式でお答えします。
Q1. インプラントは1本あたりいくらかかるの?総額は?
A. インプラントは1本あたり40〜60万円程度が相場の価格帯です。
インプラント治療の費用には、インプラント体(人工の歯根)、アバットメント(連結部分)、上部構造(かぶせ物)が含まれます。これらが治療費の中心となり、使用する素材やメーカーによっても金額が変動します。
また、骨の量が不足している場合には「骨造成」などの追加処置が必要になり、その際には数万〜十数万円の費用が加算されることがあります。複数本の治療を同時に行う場合には、1本あたりの単価が抑えられるケースもあります。
治療方法やお口の状態により総額は変わるため、事前のカウンセリングで詳細をご確認いただくことをおすすめしています。
Q2. インプラント治療に保険は使えるの?
A. インプラント治療は基本的に保険適用外の自由診療です。
虫歯治療や入れ歯のように「3割負担で治療できる」というものではなく、通常の歯の欠損に対しては保険は使えません。
ただし、ごく一部の例外として、事故や病気により顎の骨を大きく失った場合などには保険が適用されることがあります。しかし、一般的なインプラント治療は自費診療とお考えいただくのが妥当です。
保険適用外である分、治療の自由度が高く、見た目や噛み心地、材質の選択など、患者さまに合わせた質の高い治療が可能になります。しっかり噛める喜びや長期的な安定性など、費用以上の価値を感じられる治療法といえます。
Q3. メンテナンスにも費用がかかるの?
A. インプラント専用クリーニングは自由診療で1回5,000円かかります。
インプラントを良い状態で長く使っていただくためには、治療後の定期的なメンテナンスが欠かせません。
まず、通常の定期検診や歯石取り、歯周病のチェックなどは保険診療で受けられます。これはインプラントをされた方でも変わらず、保険の範囲内で一般的なお口の健康管理が可能です。
一方で、インプラント部分の専用クリーニング(インプラント周囲の専門的ケア)は保険適用外となり、自由診療で1回5,000円 となります。これは、インプラントを傷つけない専用器具や樹脂製チップが必要で、専門的な処置が求められるためです。
メンテナンス内容には、インプラント周囲の清掃、噛み合わせの確認、必要に応じたレントゲン検査などが含まれます。これらのケアを怠ると、インプラント周囲炎(インプラントの歯周病)が進行し、せっかくのインプラントがダメになることもあります。
長く快適に使っていただくためにも、定期的なメンテナンスは非常に大切です。
まとめ
インプラントは1本あたり40万〜60万円が一般的で、保険は原則適用されません。また、通常の定期検診は保険診療で受けられますが、インプラント専用クリーニングのみ自由診療(1回5,000円)が必要になります。
費用面だけでなく、治療のメリットや治療後のケアも踏まえて総合的に判断していただくことが大切です。インプラントは、見た目の自然さや噛む機能の回復といった大きな価値を持つ治療法ですので、疑問や不安があれば、どうぞお気軽にご相談ください。
監修:永井歯科医院 院長 永井 太一