2025年12月19日

毎日きちんと歯磨きしているのに、歯科医院で「出血がありますね」と言われたことはありませんか?
患者さまからもよく聞かれる疑問のひとつです。実は、歯茎からの出血は“磨いていない”からだけでなく、“磨き残しの場所”や“歯茎の状態”が大きく関係しています。
今回は、その理由と改善のヒントについてお話しします。
出血の主な原因は「歯茎の炎症」
歯磨きの際や歯科検診で出血が見られる場合、多くは歯肉炎や歯周病の初期段階が原因です。
歯と歯茎の境目には、目に見えにくい歯垢(プラーク)がたまりやすく、そこに細菌が増えることで歯茎が炎症を起こします。炎症を起こした歯茎はとてもデリケートな状態のため、軽い刺激でも出血しやすくなるのです。
つまり、「出血=磨きすぎ」ではなく、「炎症があるサイン」であることがほとんどです。
しっかり磨いている“つもり”でも磨き残しは起こる
「1日2〜3回、時間をかけて磨いている」という方でも、磨き残しがゼロというのはなかなか難しいものです。
特に磨き残しが多いのは、以下のような場所です。
・歯と歯茎の境目
・奥歯の内側(舌側・頬側)
・歯と歯の間
・歯並びが重なっている部分
普段の歯磨きでは、どうしても利き手側ばかりしっかり磨いてしまったり、同じ動かし方のクセが出たりします。その結果、「全体的には磨いているのに、特定の場所だけ汚れが残る」という状態になりやすいのです。
「どこが磨けていないか」を知ることが改善の近道
出血を改善するために大切なのは、磨き残しの場所を把握することです。
ただ闇雲に丁寧に磨くよりも、「自分はどこが苦手なのか」を知ることで、歯磨きの質は大きく変わります。
そのためにおすすめなのが、染め出しです。
染め出しで歯磨きのクセが一目で分かる
染め出しとは、歯に専用の液をつけて、歯垢が残っている部分を色で確認する方法です。
磨けていない部分が赤や青に染まるため、「ここが磨けていなかったんだ」と視覚的に理解できます。
染め出しをすると、多くの方が
「こんなところ全然意識していなかった」
「毎日磨いているのに、こんなに残っているとは思わなかった」
と驚かれます。
自分の磨き残しの傾向が分かれば、歯ブラシの当て方や動かし方、デンタルフロスや歯間ブラシの使い方も自然と改善しやすくなります。
出血は「ケアを見直すチャンス」
歯茎からの出血は、体が出している大切なサインです。
正しいケアを続けていけば、歯肉炎や歯周病による出血は徐々に落ち着いてくることがほとんどです。「血が出るから怖くて磨かない」という状態は、かえって症状を悪化させてしまいます。
ときわ台駅前永井歯科医院では、染め出しやブラッシング指導を通して、一人ひとりに合ったケア方法をお伝えしています。
「しっかり磨いているのに出血がある」と感じたら、ぜひ一度ご相談ください。
毎日の歯みがきを少し見直すだけで、歯茎の状態は大きく変わるかもしれません。
監修:永井歯科医院 院長 永井 太一