2025年8月07日

むし歯や歯周病、外傷などで歯を失った場合、「補綴(ほてつ)」と呼ばれる治療で歯の機能と見た目を回復することができます。補綴とは、簡単に言えば「失った歯を補う治療」のこと。詰め物(インレー)・被せ物(クラウン)・入れ歯・ブリッジ・インプラントなどが該当します。
補綴治療には大きく分けて「保険診療」と「自費診療(自由診療)」の2つがあり、患者さんにとって気になるのがその“違い”ではないでしょうか? 今回は、それぞれの特徴と違いについて、分かりやすく解説していきます。
保険の補綴治療ーー“必要最低限”をカバー
保険診療で提供される補綴治療は、国が定めた材料・方法に基づいて行われ、「最低限の機能回復」を目的としています。主に以下のような特徴があります。
●使用できる材料が限られている
保険で使える補綴材料は、金属(いわゆる銀歯)や、前歯部に限定されたプラスチック(レジン)など、比較的安価で汎用性のある素材に限られています。たとえば奥歯に白い被せ物を入れることは基本的にできません(一部条件を満たせばCAD/CAM冠という白い歯も可能)。
●見た目よりも機能優先
保険の補綴は、咀嚼(そしゃく=噛む)や発音といった基本的な機能回復が目的。見た目の美しさや自然さは、ある程度犠牲になるケースがあります。
●費用は抑えられるが耐久性に限界も
保険治療は自己負担が原則3割(年齢や所得により異なります)で済むため、費用は抑えられますが、使われる材料の摩耗や劣化が早く、数年おきに再治療が必要になることもあります。
自費の補綴治療ーー“より自然に・より快適に”
一方の自費診療では、使用する素材・設計・技工工程などに制限がないため、機能面・審美面ともに優れた補綴物を選ぶことが可能です。
●選べる素材が多彩
ジルコニア、セラミック、ゴールド、チタンなど、審美性や耐久性、金属アレルギーへの配慮まで考えられたさまざまな素材を選ぶことができます。特にセラミックは見た目が天然の歯に非常に近く、色調も調整可能です。
●精密なフィット感
自費の補綴物は、歯科技工士が時間と手間をかけて製作するため、適合性が非常に高く、長持ちしやすいのが特長です。再治療のリスクも下げられます。
●審美性・快適性を追求できる
見た目だけでなく、噛み合わせや話しやすさ、異物感の少なさなど、「より自然な感覚」で過ごせるのが自費補綴の魅力です。部分入れ歯であれば、金属のバネが見えないタイプ(ノンクラスプデンチャー)も可能です。
保険と自費、どちらを選ぶべき?
それぞれの違いを理解したうえで、「どちらを選べばいいのか」と悩まれる方も多いかと思います。以下のポイントを目安に考えてみましょう。
とにかく費用を抑えたい→→→保険診療
目立つ場所を自然に見せたい→→→自費(セラミックなど)
長持ちするものにしたい→→→自費(ジルコニアなど)
金属アレルギーがある→→→自費(メタルフリー素材)
もちろん、すべての方にとって「高い=良い」とは限りません。大切なのは、ご自身のライフスタイル・予算・審美性へのこだわり・メンテナンス性などを総合的に考えて、納得のいく選択をすることです。
当院では、あなたに合った選択をサポートします
当院では、患者さま一人ひとりのお悩みやご要望をしっかりとヒアリングし、保険・自費を問わず最適な補綴治療をご提案しています。気になることはなんでもご相談ください。
「見た目のきれいさが気になる」「銀歯を白くしたい」「もう再治療はしたくない」など、補綴治療にはそれぞれの想いがあります。当院は、その“想い”に応える治療を目指しています。
気になる点やご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。
監修:永井歯科医院 院長 永井 太一